【商業施設・店舗】の建築写真撮影｜初心者向け解説

投稿日: 2023.05.19

更新日: 2023.06.26

はじめに: 商業施設・店舗の写真撮影、なぜ重要？

どんなに素晴らしい商品やサービスを提供している商業施設や店舗でも、その魅力を上手く伝えることができなければ、多くの顧客を惹きつけることは難しいです。そのために必要なのが、効果的なビジュアルコンテンツの制作です。中でも、建築写真撮影は、商業施設や店舗の魅力を最大限に引き出すための強力な手段となります。

「でも、どうやって撮影すればいいの？」と思う方も多いでしょう。確かに、プロのカメラマンが撮影したような美しい写真を自分で撮影するのは簡単ではありません。しかし、正しいテクニックと撮影のコツを押さえておけば、初心者でも驚くほど素晴らしい写真を撮ることが可能になります。

このコラムでは、初心者でも簡単に理解できるように、商業施設や店舗の建築写真撮影について詳しく解説します。その方法を身につければ、あなたの商業施設や店舗がさらに魅力的に見えるようになることでしょう。

店舗の写真撮影、何から始めればいい？

商業施設や店舗の写真撮影に取り組む際の初歩として、まず重要なのはその店舗の特徴や個性、そしてターゲットとなる顧客像をしっかりと理解することです。これらの情報は、具体的な撮影の方向性を定める大切なヒントになります。店舗のイメージやブランドをしっかりと反映した写真にするために、何を伝えたいのか、どのような感情を引き立てたいのかといった撮影の目的とメッセージを明確に持つことが求められます。

次に、初心者の方は特に「どのような機材を使うべきか」について悩むことでしょう。しかし、安心してください。必ずしも最高級のカメラが必要というわけではありません。最近のスマートフォンのカメラでも十分に素晴らしい写真を撮影することが可能です。大切なのは、自分が持っている機材の特性を理解し、その性能を最大限に引き出す技術とセンスです。高い機材を持つよりも、どのように撮り、何を伝えたいのかが最も重要なのです。

写真で魅せる店舗の魅力: 見落としがちなポイントとは？

店舗の魅力を写真で表現すると言えば、その店舗が提供している特別な体験や独自の空間感をしっかりと捉えることが重要です。ただし、その魅力をどう捉えるかは、しっかりとした視点と理解が必要になります。

独自の雰囲気を作り出す要素: ディテールへの注目

まずは店内のディテールに注目しましょう。商品の配置やディスプレイ、照明の明るさや色調、さらにはインテリアや装飾品まで、細部にわたるこれらの要素が独自の雰囲気を作り出しています。これらを如何に撮影するかが店舗の個性を伝えるポイントとなります。特に、店舗がこだわっている部分や一風変わったデザイン、目を引く商品配置などは積極的に撮影すると良いでしょう。

人間の存在: 活気と暖かさを伝える主役

さらに、店舗のスタッフやお客様といった人間の存在は、店舗の魅力を伝えるうえで重要な役割を果たします。彼らの笑顔や仕草、接客の様子、商品に触れる手などを写真に収めることで、店舗の活気や暖かさ、さらにはサービスの質を感じさせることができます。人々が楽しそうに買い物をしている様子、スタッフが丁寧に接客している様子など、”人”を活かした写真は見る人に感情を伝え、魅力的な店舗像を描く力があります。

まとめ: 写真で描く店舗の物語

店舗の写真撮影は、ただ美しい写真を撮るだけでなく、その店舗の「物語」を描くことでもあります。商品、ディスプレイ、照明、人々の動きなど、それぞれが一部分を担って全体の物語を作り上げます。それぞれの要素を的確に捉え、その物語を伝える力を持った写真を撮影することが、店舗の魅力を最大限に引き出すコツとなります。

内観撮影のコツ: 空間の魅力をどう引き出す？

店舗の内観の写真撮影は、その店舗が提供する独特な空間体験を表現する重要な機会です。そのためには、テクニックと感性が求められます。ここでは、内観撮影のコツをより具体的に解説し、その空間の魅力を最大限に引き出す方法を探ります。

レンズ選びとアングル: 空間を全体的にもディテールにも捉える

まずはレンズの選び方とアングルの工夫です。広角レンズは店舗の全体像を広く捉えるのに適しており、店舗の広さや空間の構成を視覚的に伝えることができます。一方、望遠レンズやマクロレンズを使用すると、特定のディテールや商品に焦点を当て、細部まで鮮明に捉えることができます。

アングルについては、様々な視点から撮影を試みることが重要です。床から見上げるような低角度、あるいは天井から見下ろすような高角度からの撮影で、通常とは異なる視覚効果を得られます。また、直線や対角線を活用した構図は、写真に奥行き感を与えることができます。

照明と露出: 雰囲気とテクスチャーを引き立てる

照明の使い方は内観撮影における重要な要素です。自然光は空間に暖かさや自然な雰囲気をもたらし、店内の照明は店舗の独自性を引き立てることができます。窓から差し込む光、間接照明による柔らかい光、直接照明による強い光といった照明の特性を理解し、それぞれの光の強さや方向、色温度を意識した撮影を行うことが求められます。

また、露出の調整により、光と影のコントラストを操作することも可能です。適切な露出設定により、空間の雰囲気を保ちつつ、詳細なテクスチャーを際立たせることができます。明るい空間での撮影では、適度に露出を下げて細部のテクスチャーを保持し、暗い空間では露出を上げて詳細を明らかにするなど、空間の特性に合わせて露出を調整しましょう。

構図と視線の流れ: 間と要素を効果的につなぐ

また、空間を構成する要素と間の関係性を意識することも重要です。例えば、商品の配置やディスプレイ、家具の配置など、空間内の要素は視線の流れを誘導し、空間全体の印象を大きく左右します。これらの要素と空間の間を効果的につなげるような構図を心がけましょう。

空間を縦横無尽に動き回る視線は、写真の中の視点を誘導し、その空間の体験感を引き立てます。たとえば、一点透視図法を利用した構図は、深度感を強調し、視線を写真の奥へと導く効果があります。これにより、店舗の空間がどのように広がり、どのように使われているのかという情報を視覚的に伝えることができます。

まとめ: 内観撮影はストーリーテリング

これらのテクニックはすべて、店舗の内部空間をどう見せるか、つまりその空間の「ストーリーテリング」に役立ちます。空間の全体像とディテール、照明と露出、構図と視線の流れ、これらの要素が組み合わさって、店舗の内部空間の物語が描かれます。それぞれの要素を意識しながら撮影を行うことで、その店舗ならではの空間体験を的確に伝え、見る人の心を引きつける写真を生み出すことができます。

外観撮影の秘訣: 建物と周囲の風景、うまく組み合わせるには？

視点の選択：建物の最高のプロフィールを捉える

まず、店舗の外観を撮影する際には視点の選択が重要です。建物のどの角度から撮影するかによって、その形状、高さ、デザインの特徴など、建物の印象は大きく変わります。建物全体を一望できるような遠景から、建物の特徴的なディテールに焦点を当てた近景まで、視点を変えて多角的に建物を捉えることで、その魅力を多面的に伝えることができます。

また、視点の高さも重要な要素です。地上から見上げる低い視点からは、建物の堂々とした存在感や高さを強調することができます。逆に、高い視点からは、建物の屋根やテラスなど、通常見えない部分や建物全体の形状を捉えることができます。ドローンを使って空中から撮影すると、建物とその周囲の関係を一望でき、地域との連携やその位置づけを視覚的に伝えることができます。

時間の選択：環境光を味方につける

次に、撮影時間帯の選択です。時間帯によって太陽の位置や光の質が変わるため、それによって建物の印象も大きく変わります。朝の柔らかな光では、新しい一日の始まりを感じさせ、暖かみのある印象を与えます。逆に、日中の直射日光では、建物の色や質感がはっきりと出ます。夕暮れ時のゴールデンアワーでは、建物が柔らかなオレンジ色の光に包まれ、絵画的な美しさを引き立てます。

また、夜間の撮影では、建物の照明やネオン、窓から漏れる光など、人工光を効果的に使うことが求められます。人工光だけでなく、月明かりや星の光を活用して、幻想的な雰囲気を演出することも可能です。

周囲の風景との調和：その場所だけのストーリーを描く

その場所でなければ得られない経験を伝えるために、店舗や商業施設の外観撮影には周囲の風景との関係性が極めて重要です。その建物が存在する環境、つまり、隣接する建築物、近くの公園、通り抜ける道路、周囲の自然環境など、全てがその場所の個性を形成しています。

そのため、店舗の外観だけでなく、周囲の風景を含めて撮影することで、その店舗が存在するコンテクストや環境を伝え、店舗の物語性を引き立てることができます。例えば、都市部のビルの間にひっそりと佇む小さなカフェ、山間の静かな森に建つ一軒のレストラン、海岸沿いに立つ色鮮やかな小売店など、その場所だけの特別なストーリーを描くことが可能です。

また、季節や天候による風景の変化も、撮影を通じて表現することができます。例えば、春には新緑や花々、夏には青空や海、秋には紅葉、冬には雪景色など、季節の移ろいや天候の変化は、その場所の時間的なコンテクストを与え、一年を通じての店舗の魅力を伝えることができます。

以上の視点、時間、そして周囲の風景との調和の三つの視点を念頭に置いて、外観撮影に取り組むことで、その建物と場所が一体となった、その場所だけの特別感あふれる写真を撮影することができます。これらの要素を意識しながら、あなたのカメラを通じてその店舗の魅力を引き出し、視覚的な物語を紡いでいきましょう。

いざ編集! 写真の魅力をさらに引き立てる方法とは？

撮影が終わったら次は写真の編集です。編集によって写真は更に魅力的になり、その店舗のイメージをより鮮明に伝えることができます。色彩の調整、明るさやコントラストの調節、不要な要素のクロップなど、さまざまな編集方法があります。

それぞれの写真が求める編集は異なるので、一概にこれがベストとは言えません。しかし、全体の調和を保ちつつ、目立たせたい部分は強調するなど、写真が伝えたいメッセージを強化する編集を心がけると良いでしょう。

建築写真のパワー: マーケティングでの活用例

1. デジタルマーケティングにおける建築写真: メディアと活用方法

現代のマーケティングでは、デジタルメディアの利用は避けて通れません。そして、その中心にあるのが視覚的な情報、すなわち写真です。建築写真は、店舗や商品を一目で理解できるビジュアルエレメントとして、ウェブサイトやSNS、電子メールマーケティング、オンライン広告など、さまざまなデジタルメディアで広く活用されています。

ウェブサイトには店舗の全体像や部分的なディテール、インテリアの様子などを表す写真を掲載することで、訪問者に対してその場の雰囲気を伝え、実際に訪れたくなるような誘引力を生むことが可能です。SNSでは、日常的なシーンや特別なイベント、新商品やサービスの紹介など、その瞬間瞬間の魅力を短いスパンで伝えることができます。また、広告では、特定の商品やサービスを強調し、消費者の購買意欲を喚起することが可能です。

建築写真をWebマーケティングで活用する場合、以下のようなSNSが有効です。

Instagram: 最も人気のある写真共有アプリの一つで、美しい建築写真を広範にシェアできます。また、ストーリーズ機能を使えば、その日の店舗の様子をリアルタイムで更新したり、過去の投稿をハイライトとして表示したりすることも可能です。
Facebook: 店舗の情報を共有したり、イベントを告知したりするのに適しています。また、投稿に建築写真を添えることで、より鮮やかで魅力的なコンテンツを作ることができます。
Twitter: リアルタイムの情報発信に最適なSNSで、店舗の更新情報やキャンペーン、イベント情報などをすぐにシェアできます。また、ハッシュタグを活用すれば、特定のトピックやイベントを強調することも可能です。
Pinterest: ビジュアル重視のSNSで、特にインテリアやデザイン、アートなどに興味があるユーザーが多く利用しています。美しい建築写真を”ピン”して共有することで、その店舗や商品への関心を引き立てることができます。
LinkedIn: ビジネス向けのSNSですが、特にB2B（企業間取引）の場合には効果的なプラットフォームです。会社のオフィスや店舗の建築写真を共有し、その企業のブランドイメージを強化することができます。

これらのSNSを活用することで、広範囲にわたるターゲットオーディエンスに対して、店舗の魅力を視覚的に伝え、エンゲージメントを促すことが可能となります。

2. 季節性とタイムリーな情報: 建築写真の魅力を最大化

建築写真の力は、それが表現できる情報の幅広さにもあります。特定のイベントや季節に合わせた撮影を行うことで、それらのタイミングに応じたタイムリーな情報を提供することが可能になります。これにより、消費者の興味や関心を引き、リアルタイムな体験を想像させることができます。

例えば、クリスマスやハロウィーンなどの季節のイベント時には、そのテーマに合った装飾や商品を強調した写真を撮影し、SNSなどで共有することで、消費者の季節感を喚起し、実際に店舗に足を運びたくなるような気持ちを引き出すことが可能です。また、新商品の発売や限定メニューの紹介など、一時的な情報を伝える際にも、建築写真は効果的です。